夏休みに日本に帰省した際、実家の近所の小学校へ2週間体験入学をさせてもらいました。1年生は2クラスあったので、1クラス1週間ずつ入れてもらいました。
2週間終わって、職員室で担任の先生方から言われたことを今でも覚えています。
『1年生になってまだ3〜4ヶ月なのに、自分の意見をしっかりとまとめて、みんなの前で堂々と発表することができていました。その様子にとても驚いています。うちの小学校には、たぶんあそこまでできる児童は1年生から6年生を通していないと思います。いったいアメリカの小学校ではどんなことをしているんでしょうか?』みたいな質問でした。
そう担任の先生方から言われて、いろいろとアメリカの保育園、幼稚園、小学校での授業についてお話をさせて頂いたことがあります。
私も日本で教育を受けてきたわけで、子供達がプリスクールに通っていたとき、幼稚園に入園したとき、1年生になった時とアメリカの学校の授業を垣間みて、へぇ〜〜日本とは随分と違うなぁ〜ということより、これじゃぁ日本はかなわないなぁと脅威に思ったことを覚えています。
アメリカの学校は小さい頃からプレゼンテーション力の育成にかなり力をいれています。
人前でも恥ずかしがらずに自分の意見が言える。自己主張ができる。といった日本人には苦手分野ですが、実はアメリカ人だって小さい頃からのプレゼン トレーニングでこういったスキルを身につけているんだと思います。
では、実際にどんなことをしているかちょっとご紹介します。
まず息子達が通ったプリスクール(3〜5歳児)でのこと
Show & Tellという授業があります。文字通り、Show=見せて、Tell=話すというものです。児童は家から自分のお気に入りのものやお友達に見せたいものを一つ持って来ます。そしてみんなの前でそれを見せて、どうしてそれが好きなのか、どうしてそれをみんなに紹介したいと思ったのかなどをお話するわけです。
そのプレゼンが終わったら、先生やクラスメートから質問を受け、その質問にも答えます。時には質疑応答から議論に発展することだってあるわけです。
これが、アメリカのプレゼン力教育のスタートです。
5歳になって義務教育の幼稚園に入園、そして小学1年生。そこではStar Weekなるものがありました。
各児童は順番に月〜金の5日間の朝15分の時間が与えられます。自分の順番の週が回って来た児童は準備してきたパネルを前に置いて、5つある項目からその日の1つを選び、クラスメートの前で話し始めます。いきなりパネル プレゼンテーションです。みんな凝ったパネルを作ってきます。
例えば、1日目は家族の写真を見せて家族の話。2日目はお気に入りのおもちゃを見せて、どうしてそれが好きなのか....。3日目は好きな本の紹介といった具合です。プレゼンの後は先生やクラスメートからの質問に答えたり感想を聞いたりします。
小学2〜5年生ではバイオグラフィーのプロジェクトがあります。調べたい人物を一人選んで、その自伝を読み、調べて、パネルを作成します。発表会の日にはその人物になりきってみんなの前で発表。なりきるために衣装もメイクアップもオッケーです。そうコスプレをしてプレゼンするのです。おかげでお母さんは衣装を揃えないといけません。
スポーツ選手とかを選べば手持ちのもので何とかなりますが、昔の人物を選んだらお母さんは大変です。作らないといけません。私はこれまでに、バイキングの衣装、ギリシャ神話の衣装、マルコポーロの衣装、ミケランジェロの衣装を縫いました。裁縫は苦手なんですが、子供の為となると、なんでも縫えるようになります(笑)
発表の当日は親も招待されるので、自由に見学できます。体育館で子供達が自分のブースに立っていると、見学者がグループになってやってきます。そこでプレゼンをするので、1時間の間に4〜5回はプレゼンをすることになります。
この他にも、一年を通していろいろな課題が出されるので、その課題の中からテーマを決めて、レポートやパネル、時には模型まで作って、プレゼンをします。手伝っているうちに私はクラフト名人になりました。なんでも作れます(笑)。
また、4〜5年生にもなるとパワーポイントでプレゼンすることもありました。
驚きなのは、プレゼン当日はこれらのことが評価されるので十分練習をして来て下さいって、事前に評価表が配布されることですね。
例えば、十分な準備ができているか、ちゃんとまとめているか、メモを読まずに発表できているか、発表に工夫をしているか、聞いている人にアイコンタクトをしているか、大きな声がでているか、みんなにわかるように発表できているか、質問にこたえられたか、などなどかなりの項目があります。また、4〜5年生にもなるとパワーポイントでプレゼンすることもありました。
驚きなのは、プレゼン当日はこれらのことが評価されるので十分練習をして来て下さいって、事前に評価表が配布されることですね。
また小学5年生では歴史の授業で憲法を習ったついでに、疑似コングレス(議会)までやってました。発表会にはもちろん親も招待されるのですが、町会議員と校長先生と教頭先生も参加し、グループごとに憲法について発表し合うという、なんともすごいプレゼン授業でした。
中学・高校になると、グループ プロジェクトが増えて来ます。授業でテーマが決められ、各グループでそれぞれその中からテーマを決め、パネルや模型や時には動画、パンフレットまで制作してのプレゼンテーションです。
グループ内で生徒たちは激しく議論をぶつけ合い意見をまとめて行く必要があるわけですね。意見をまとめるためには相手を説得するスキルがいるんですよね。プロジェクトをやっている最中にメンバーに対して自然とプレゼンやってるわけです。そして協力しあってチームで一つの目的を達成するスキルも学ぶわけです。
アメリカの子供達だって、急には上手くならないわけで....、こうやって段階を経てトレーニングされていくわけです。最初は遊びなどを取り入れて、だんだん本格的になっていってます。こういった実践トレーニングを小さい頃から積ませて、社会に出てたときには強力な即戦力となっているわけです。
郡(カウンティ)、州(ステイト)と勝ち進んで、全国大会だってあります。
弁護士役になったり検事役になったりして、仮想裁判を行っていくわけです。参加している学生達がみな将来は弁護士になりたいというわけではないでしょうが.....。
全国大会で優勝でもしようものなら、それこそハーバードやイェールの敷居が一段低くなるかもしれませんよ(笑)
思うに、プレゼンテーション力とは説得力ですよね。自分の話術で相手の考え方に影響を及ぼし最終的には味方に引き込む力。このスキルが高い人こそアメリカでは優秀な人材とされているんだと思います。
アメリカの学校の究極の目的は世界のリーダーになる人材を育成することにあるわけですから。
二年前、NHKが放送したハーバード白熱教室を観て日本中の教育者がショックを受けたんじゃないかと思います。サンデル授業のあの学生の発言をコントロールする技術もさることながら、学生達のあの発言力というか、ディスカッション力というか.....。このままではいけない日本!....って思ったんじゃないかと。で、日本でも日本版白熱教室を放送していますが....なんかだいぶ物足りません。
そして今年、またもやNHKのスーパープレゼンテーションを観て驚愕!!ですよね。日本もそろそろ教育の内容を変えないといけない....って。
ビジネスの世界でも研究の世界でも、国際競争力をつけるために絶対に必要なスキルですよね。
知識を一生懸命暗記するだけ、先生の話を聞いてるだけの一方通行の授業よりも、受験のためだけの勉強よりも、こういった勉強も日本の学校で取り入れてもらいたいものですね。
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