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2011年7月24日日曜日

バイリンガルの適齢期のお話

今回はバイリンガルについてのまじめなお話。
何年か前にバイリンガル、トライリンガルの研究をしているミシガン大学の教授を招いて日本語補習校で公演会がありました。
言語習得には個人差があります。でも長年の研究で傾向も掴めているようです。 

やはり母語が確立してからの移住者の方がバイリンガルとしてのレベルが高いようです。そして年齢別に見た言語能力の発達というのがあるようです。 
では、その時のお話をご紹介します。
これは日本からアメリカやカナダに移住した子供達を研究したものです。


バイリンガルの型
★アディティブ バイリンガル(バランス バイリンガル)
★日本語ドミナント バイリンガル(日本語の方が強いバイリンガル)
★英語ドミナント バイリンガル(英語の方が強いバイリンガル)
★ダブル リミテッド バイリンガル(日英両言語とも限定的で年相応の言語能力が身に付いていない)


アディティブ バイリンガル(バランス バイリンガル)とは
1. 第一言語と第二言語の会話面および認知、学力面において高い言語能力を有する者。
2. 自己の第一言語および文化に対し、強いアイデンティティと肯定的な考えを持つ、と同時に第二言語およびその文化に対しても肯定的な態度を持つ者。
3. 第一言語(少数言語)が、いろいろな社会的役割や領域にわたって広く使う機会がある者。


学習者の年齢別に見た言語能力の発達
来米時、6才未満だと1年で英語の方が優位になる。 
7〜10才だと2年半〜3年で日常会話も授業もこなせるようになりますが個人差が大きい。
 
兄弟間の使用言語をみると、8才以前の来米者の場合は日本語より英語への移行が起こりやすい。 
9才以降の場合は日本語が保持される。 9才以降の来米者には日英両語に堪能なものが出て来るが、9才以前だとどちらかが消滅してしまう。 
これらの傾向から、8〜9才頃に言語習得についての分水嶺がある。
 
11才以降の来米者の場合は始めの1年くらいはESLのクラスで話すが、普通のクラスでは話さない子供が多く、日常の友人たちとの会話で言いたい事が言えるようになるのが2年目の終わり、授業にあまり苦労しなくなるのが3年目の終わり頃。4年目には本来の実力を言葉のハンディを越えて発揮しだし、成績優秀者の中に入っていく。この段階に至り、はじめて深くアメリカの生活を体験しだす。 


英語の読解力が学年相応に達するまでには平均4〜5年、会話力では2〜3年かかり、内向的か外交的かの性格も大きく関係する。また英語との接触量とも大きく関係する。 

年齢の低いまだ日本語も読めない時期と、もうすでに読める子供では、日本語が読める子供の方が英語の学年平均に近づく度合いが早いことがわかる。 

一番伸び率が良いのは7〜9才の間に海外に出た子供で、4〜5才から海外で過ごした子供が、英語でも日本語でも読解力の伸びが遅く、学年相応の英語力に達するのに長い場合は7〜8年かかり、日本語も英語も伸び悩む二重苦の責めにあっている子供達もたくさんいる。


反対に、入国時が10〜12才の子供は、それより年齢の低い子供より、日本語の読解力を上昇させるのが可能で、会話力でも年長児の方が日本語の保持はずっと長くできて、反対に年少児でも年齢の低い子供ほど、日本語の会話力の落ちが早かった。 
ということです。


思うに、高等思考ができる言語、つまり母語がしっかりしていると第二言語の発達も高レベルだということです。要は、母語以上に第二言語は上達しません。


これはアメリカで子育てをしている私にとって実感というか痛感していることです。
母語の確立は本当に大切です。


アメリカに住んでるだけで、学校に行っているだけでバイリンガルになると思ったら大間違いで、家庭でのサポートの比重はかなりのものです。


いろいろなサイトで見かけますが、日本で子供をバイリンガルにしたいのでインターナショナル スクールへ入れたいというもの。
家庭で親がインターの宿題(もちろん全部英語)のサポートをし、英語の語彙力を増やすサポートをし、日本語も同レベルになるように家庭で日本語での教育を行う。ここまで完璧にやれば、そこそこはいくかもしれません。が、かなり大変です。

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