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2012年1月30日月曜日

遺産相続とトラスト(信託)

出生による国籍からどんどんと話が進んで行っていますが.....。
アメリカ人と結婚し永住権でアメリカに住んでいる日本人が永住権か市民権かで悩むきっかけは大抵の場合は遺産相続がらみなんだそうです。


日本では相続する人に税金が発生するので相続税、アメリカでは遺産を持っている人に税金が発生するので遺産税(Estate Tax)と言うそうです。遺産税は相続した人ではなく遺産を持っている人が払います。で、税金をさっ引かれた後の遺産を相続人が相続します。


で、この遺産税ですが、2011年の場合(毎年変わってます)、遺産が500万ドル(強引に1ドル=100円として5億円ですね)以上の場合、最高35%の遺産税が発生します。しかし、これは配偶者以外の相続の場合です。例えば子供とか孫とか....。


では配偶者の相続の場合はどうなのか、遺産税は無しです。
夫婦の間での遺産の相続の場合は夫婦間無制限控除(Unlimited Marital Deduction)というのが適用されます。夫婦間の遺産相続の場合、どんなけ遺産があっても税金はかかりません。
但し!遺産を相続する配偶者がアメリカの市民権を持っている場合に限り、この婚姻控除が認められるのです。はい、永住権と市民権の違いはここです。


ま、私の場合は悩む必要なんてないんですけどね、だってどう考えても500万ドルの遺産は無いもん(笑)。宝くじが当たったら別ですけど。


でも500万ドル以上の遺産があったらどうよっていう好奇心はありますよね。
その場合、救済策はあるのです。それがトラスト(信託)です。


適格国内信託(Qualified Domestic Trust)というのがあります。
この場合、アメリカに居住している外国人配偶者でも市民権を持つ配偶者と同様の夫婦間無制限控除(Unlimited Marital Deduction)が適用されるというもの。


こうやって考えると、このQDTというのに入っていれば、別に永住権のまんまでもかまわないわけですが、なにせ税金関係の法律って毎年変わるし、QDTという特例も廃止にならない保証はないですしね.....。




ついでにもうひとつ、配偶者であろうとなかろうと、たとえ遺産が500万ドル以上あろうがなかろうが、遺産を相続するには、プロベイト(Probate)という裁判所による検認手続きがあります。これがまたかなり厄介なんだそうです。とにかく時間がかかる。一年くらいはかかるらしいです。その上、費用までかかるんだそうです。遺産総額の2〜4%だそうです。あほらしくってやってられないってことで、このプロベイトを回避するためのトラストがあります。
生存者信託(Living Trust)と言うもので一般的にはA-Bトラストと呼ばれています。


これに入っておけば、裁判所を通さず、余計な費用を払わずにすんなり相続ができます。但し、弁護士、会計士、信託管理の費用がかかりますが、プロベイトの費用とかかる時間に比べたらましなんだそうです。


余談ですが、この遺産税は毎年改正されています。非課税枠は年々上がり、税率は年々下がるというお金持ち有利の改正という構図が続いていますね。驚くことに2010年は非課税枠が無し=遺産税廃止になりました。2010年に相続したお金持ちの子供達は超ラッキー。


この富裕層への減税政策は共和党のしわざですね(笑)。民主党は国民医療保険制度に賛成してやるから遺産税を廃止しろって脅されたんでしょうか......。でも2011年に当然ながら復活。2013年には最高税率55%なるらしいですよ。まぁ私のような一般小市民には一切関係のない雲の上の話ですが.....。
アメリカの遺産税の税率はこんな感じ↓
ウィキペディアより
それに引き換え、日本の相続税は↓こんな感じ.....

ハーバード白熱教室のサンデル教授の講義をテレビで見た人は知ってますよねぇ。
遺産税も所得税も民主主義での富の分配は正義か否か ってやつです。でもその講義を受けているハーバードの学生の中には、その富を得るために人並み以上の時間を費やし努力をしたのだから、それだけの報酬を得られて当然で、その努力をしてこなかった人達に分配するのは不平等だと言っている学生がいましたね。

貧しい家庭から努力して奨学金でハーバードへ行くなんぞ昔はあったかもしれませんが、今はちがいますね。アメリカでは、こういう年間授業料が5万ドル(500万くらい)もするような、しかも成績もトップクラスの学生が全米&世界中から集まるような大学へ進学する子供達は、もともと高額所得家庭の子供達です。

日本でも同じですね、ここ何年も、東大へ進学する子供達の家庭の平均所得は全国一位です。小さいころからお金をかけた良い学校、良い教育、習い事などをずっとしてきているわけです。
生まれによって自分の力ではどうすることもできない環境ってのはありますね。

中にはいますよ。一般家庭に育った子供でも人並み外れた才能を持った子供たち。でもこれは一般的ではありませんね。実は我が家の二軒隣のお嬢さんがこれでした。幼稚園から高校まで地元の公立学校に行った普通の家庭の女の子でしたが、とにかく数学が並外れてできる。
で、奨学金で(もちろん全額無料、返済不要)、スタンフォード大学へ行きました。現在ロケットのエンジンを設計するエンジニアになってます。すご.....。
どうやったらそんな子供に育てられるんだろうと、そのお母さんの爪の垢をもらいたいのは私です(笑)。もう手遅れですけど....。



【注意】法律は改正されます。そして、私は法律や税金の専門家ではありませんので、ここに書かれていることは参考にとどめ、詳細は専門家に相談して下さい。


※関連記事
出生による国籍
二重国籍 その1
二重国籍 その2

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2012年1月28日土曜日

おいしい地ビールが飲めるバー

フェアファックス(Fairfax)Iron Springsというおいしい地ビールの醸造所&レストランバーがあります。
夜はバー&レストラン。料理も美味しくて、お値段も手頃でお店も明るい感じで家族連れも多くとても人気のバー&レストランです。いつもいっぱいの人で賑わっています。
お食事のメニューはこちらここおすすめですよ。家族連れの多いバーってそうはないですよ(笑)
カウンターの後ろにはでっかいタンクが....
時々バンドも入ってます。実は、我が家のお隣さんのご主人は音響デザイナー&メイヤーサウンドのインストラクター&レコーディング エンジニアとやらで、ロックからクラシックまで様々な種類のコンサートの音の演出や指導をするため、世界中を回っています。で、ここのお店の音響システムは彼がデザインしました。
すっごいいい音してます。
ここで催されるイベントのスケジュールはこちら
ここのビールはベイエリア周辺で購入することもできます。販売しているお店のリストはこちら
この日、長男が親友の家に泊まりに行くってことで、送った帰りにダンナと二人で立ち寄りました。ダンナはもちろんドラフトビール、私はこのお店お手製のジンジャーソーダ。しょうがの味がピリピリするほどきいてました。こんな美味しいジンジャーソーダ初めて飲んだ。
飲み物だけじゃねぇ〜と注文したのがガーリックフライ。フレンチフライにガーリック&ねぎオイルがかけてあって、唐辛子がぱらぱらと....。なんとも言えない美味しさ。


Iron Springs
765 Center Boulevard
Fairfax, CA 94930
(415) 485-1005

営業時間
月〜木:午後4時〜
金:午後3時〜
土・日:午後12時〜


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2012年1月26日木曜日

ローレンス ホール オブ サイエンス

Lawrence Hall of Scienceという科学博物館がバークレーにあります。冬休み中、退屈そうな次男を連れて行って来ました。


カリフォルニア大学バークレー校の裏山にあるのですが、不安になるほどどんどん上へ上へ行きます。でも登った甲斐は絶対にありますよ。そこからの眺めは絶景です。
 
この日はあいにくサンフランシスコ湾には霧が発生していて、全部を見る事はできませんでしたが、バークレーの市街地を見下ろし、サンフランシスコ湾の反対側のずっと遠くにタマルパイアス山が見えた時は感動。サンフランシスコだって見えます。晴れた日はさぞかし美しいでしょうね。
中に入る前に(笑)、ちょこっと説明。博物館の名前にもなっていますが、この博物館は1968年にカリフォルニア大学で初めてノーベル賞(物理学)を受賞したアーネスト・オーランド・ローレンス(Ernest Orlando Lawrence)博士(物理学者)を記念して建てられた博物館なんだそうです。館内にはローレンス博士に授与されたメダルも展示されています。

で、何でノーベル賞を受賞したのかというと、サイクロトロン(Cyclotron)を発明した功績だそうです。はい、サイクロトロンってなんですか?ですよね。ウィキペディアによると、
原子物理学や素粒子物理学で標準的に使用される加速器のことだそうです。
聞いた事ありますよねこれ、最近ちょくちょく新聞にも載ってますよね。○○素粒子が発見されたとかなんとか。以前書いた記事にも『新書大賞2011』『宇宙は何でできているのか』というのがありましたが、まさにそれですそれ(笑)。

博士は素粒子を作ったり、反物質を作ったりしているスイスのCERNとか、岐阜の神岡研究所(スーパーカミオカンデ)とか、つくばの東大の宇宙研究所とか、東京のIPMU(数物連携宇宙研究機構)とかそういった所で研究をしている人達の大先輩、パイオニアってことですね。

ローレンス博士はバークレー放射線研究所所長でもあったそうで、例のマンハッタン計画にも参加していた人だそうです。


この科学博物館の売りは、ただ見るだけではなく、実際に触ったり、体験したり、作ったりして科学を体感できるところです。だいたい小学生〜中学生あたりが楽しめるようになっていますね。


ではさっそく中に入ってみましょうか....。ちょうど恐竜展をやっていて、恐竜好きの次男はもう目がハート。あちこちに置かれている恐竜のロボット?は動くのです。それもすごく微妙な動きで生きているようです。これは大人も感動。
 
いいなぁ〜、いいなぁ〜と、次男君これに抱きついてました
発掘された化石や骨の展示もされており、かなり興味深かったです。考古学者に憧れている次男君、食い入るように見てました。
 
プラネタリウム($4/入場時にチケットを購入)は1時、2時、3時と3回あって内容はそれぞれ違います。私たちは2時のプログラムに入ったのですが、”今日の夜空に見える星座”という内容で、配布されたプリントを見ながら、上を見上げて星座を探していくという作業が20分くらいあって、かなり疲れました(笑)。最後はほとんど寝てましたけど....。


下の階に行くと、カフェテリアとか実験室や動物を見たり触ったりできる研究室や、ゲーム感覚で科学を楽しめるいろいろな展示物がありました。超驚きだったのが、下の写真。初代iMacをまだ使ってる.....。
次男がかなり気に入っていたのが、プラネタリウムの隣りにある木のパネルで遊べるスペース。みんな自分が作ろうとしているものの立体図を想像しながら一枚一枚のパネルを慎重に重ね、すごい集中力でそれはそれは見事なものを組み立てていました。



中庭に出ると、人口の小川が流れていて、水流の実験ができます。でも、小さな子供達にとっては単なる水遊び場でしたけど.....

下の写真。1989年のロマ・プリータ地震の時にできたスタジアムの壁の亀裂が展示してありました。バークレーの下はヘイワード断層になっていて、このスタジアムはちょうどヘイワード断層の真上に建てられていたそうで、真っ二つに裂けたというか、ひびが入ったそうです。
下の写真はサン・アンドレアス断層の図で線より上側がパシフィック・プレイトで下側が北アメリカプレイト。過去2回のサンフランシスコ大地震でこのプレイトがずれてしまって、フェラロン島(Farallon Island)の位置が変わったそうです。
とりあえず、全部見たし、暗くなる前に帰ろうということで4時すぎに出ました。元来た道を戻ってフリーウェイに乗ったまではよかった。ところが右から2つめのレーンを走っていたおかげで、途中から違うフリーウェイに入ってしまったらしく、それに気づかず、走れども走れどもリッチモンドブリッジに到達しない、風景も見た事無い、サインに表示されている地名もええっ?ってな感じ。
もしやと思って、iPhoneを取り出し、グーグルマップをチェクしたら、赤いピコピコが全然違う方向、そうサクラメント方向へ走っておりました川 ̄ー ̄;A"

ひゃぁ〜〜〜〜どうやって戻るんだ!!とりあえず、フリーウエィを降りて、赤いピコピコがサンフランシスコ湾方向へ向き、乗るべくフリーウェイの近くへ行くように走ること20分。グーグルマップのGPSは本当に役立つ。
そうしたらリッチモンド ブリッジ方面のサインを発見、交差点ごとにあるI-580 west (フリーウェイの名前)のサインを追っかけながらひたすら走ったら、やっと見つけたI-580 westの入り口。無事生還。
冷や汗かきました。結局30分ほど迷子になっておりました。
それにしてもグーグルマップのGPSさまさまです。

Lawrence Hall of Science
1 Centennial Drive
Berkeley, CA 94720
510-642-5132
大人:$17
子供:$14(7〜18、62〜)
幼児:$11(3〜6)
プラネタリウム:$4

2012年1月24日火曜日

チャールズ・シュルツ ミュージアム@スヌーピー


ソノマ カウンティのサンタ ローザ(Santa Rosa)という町にチャールズ・シュルツ ミュージアム(Charles M. Schulz Museum)とう博物館があります。何の博物館かと言うと、スヌーピーの博物館です。スヌーピーの生みの親、チャールズ・シュルツの仕事部屋、遺品、原画などが展示されています。
サンフランシスコのプレシディオにある、ウォルト・ディズニー ファミリー ミュージアムと同じような感じですね。どちらかというと大人のピーナッツファンが喜ぶ場所です。ギフトショップで売られているものの中にはお宝になりそうな、コレクターが欲しくてたまらないような物もたくさんあります。


スヌーピーを読んだことのある人ならご存知だと思いますが、よくスヌーピーがスケートをするシーンがでてきますよね。チャールズ・シュルツは大のスケート好きで、アイスホッケーチームまで持っていました。その上、スケートリンクまで建ててしまって.....。
スヌーピーズ ホーム アイス レッドウッド エンパイヤー アイス アリーナ(Snoopy's Home Ice Redwood Empire Ice Arena)といいます。
ミュージアムのすぐ隣りにあります。
もちろん一般も滑ることができますが、フィギュアスケートやアイスホッケーのクラブ、それからプラベートやグループレッスンのクラスもあります。

冬になると、アイスショーが開催されるのですが、これがまた人気で、チケットがなかなか取れません。もう随分と前になりますが、子供達がまだ小さかった頃、お義父さんからアイスショーのチケットをクリスマスプレゼントに頂いて、家族四人で観に行きました。
スヌーピーと言えば、私が小中学生の頃に大ブレイクしたわけで......。開場待ちの間、ロビーのカフェにスヌーピーが現れた時には、もうどれだけ大はしゃぎだったか。大喜びで抱きついていたのは私でした(笑)


入場料は大人$10、子供&シニア$5とディズニーより良心的です(笑)


Charles M. Shulz Museum
2301 Hardies Lane, Santa Rosa, Ca. 95403
(707) 579-4452

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2012年1月22日日曜日

二重国籍 その2

その1で書いた二重国籍の日本人についてもうちょっと踏み込んで....いろいろと。


二重国籍の日本人には主に二つのケースがあります。ひとつは出生により二重国籍になった場合、もうひとつは仕事や結婚で永住権(グリーンカード)を取得した後に自分の意志でアメリカ国籍を取得して二重国籍になった場合。
出生により二重国籍になった人はともかく、成人してから自分の意志でアメリカ国籍をとっておきながら、なんで日本国籍も持っている必要があるんだっ!!ってしかられそうですね。


別にアメリカ人になった方がいいから日本国籍を捨てたわけではないのです(と言うか捨ててはいませんが...)。海外に住む日本人がどうしてその国の国籍を取得しなくてはいけなくなったか。いろいろな事情があります。まずは下の3つの記事を読んでみて下さい。


1)カナダ在住の日本人がブログに投稿した記事 →ここ
2)海外在住の日本人が重国籍を求める気持ちを投稿 → ここ
3)国際結婚を考える会に投稿された意見 → ここ


とまぁいろいろあるのですが、仕事や結婚で海外に住む場合、最初は永住権で何の問題も感じないのですが、長くなればなるほど、市民権と永住権の違いで不利益を被ることがいろいろでてきます。たとえば、就ける仕事に制限があったり、相続にも制限がついたりします。将来的には受けられる福祉にも制限がつくようになるかもしれません。生活をして行く上で、また自分たちの財産を守るため、市民権(国籍)を取らざるを得ないというケースがほとんどではないのでしょうか。


市民権を取らざるを得ない....、でも日本国籍を捨てるなんでどう考えてもできない....と。海外に長く住んでいる日本人が必ず直面する苦悩です。実は、永住権取得12年目の私も....現在悩み中。
その1でも書きましたが、そのまんま両方とも持ってりゃぁいいことなんですけどね....。良心がチクチクするわけです。それに、両方持っていても、日本は重国籍を認めていないので、日本人なのに、日本に帰るときはアメリカのパスポートでアメリカ人として帰らないといけなくなるわけで、3ヶ月までしか滞在できません。


中南米や日本以外のアジアからアメリカに移民としてやってくる人達はあっさりと市民権を取得する傾向にあります。というか取得します。主な理由は本国の家族を呼び寄せたいからとか、アメリカ人になった方が生活が豊かだからです。
日本人の場合はそれとはちょっと違うんですね。別にアメリカ人にならなくても十分豊かなんです。そして、戦争や紛争や政治的圧力や飢餓に苦しんでいるとか貧困のためとかで自国から逃げる必要も無いですしね。日本は本当にいい国ですよ。


アメリカに来る日本人は生きるためというよりも、より良い教育を受けたいとか、よりよい仕事をしたいとか、どちらかというと自己実現のためにやってくる人がほとんどで、そもそも目的が違う。100年前に移民としてやってきた現在の日系人たちのご先祖さまの時代から大きく変わったのです。


先日、アメリカ人弁護士と話をする機会があって、やっぱり国籍の話が出ましたねぇ。
弁護士:どうしてアメリカ国籍を取得しないのですか?
わたし:日本は重国籍を認めていないのです。
弁護士:じゃあアメリカ国籍でいいじゃないの?
わたし:いぁ〜〜、そう言われてもねぇ〜
だって、日本のパスポートの方が信用度高いじゃん....って言えませんでした(汗)



※関連記事
二重国籍 その1
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2012年1月21日土曜日

二重国籍 その1

先日、出生による国籍についての記事を書いたんで、その続編として二重国籍について。
日本とアメリカ間だけなら二重国籍ですが、お父さんがドイツ人でお母さんが日本人で子どもはアメリカ生まれで国籍は3つという多重国籍ってのもあり得ますね。ヨーロッパの人は複数の国籍を持った人が結構います。


さて、他の国のことはよくわかりませんので、直接関わる日本とアメリカの二重国籍についてこれまで見聞したことをば.....。


その前に、国籍の取得方法について。3つあるらしいです。
1)出生による取得:これは『出生による国籍』で書きましたね。
2)結婚や養子縁組による取得(結婚と同時に国籍が自動付与される国がある)
3)帰化による取得
実際、アメリカ人と国際結婚をして、アメリカに住んでいる私たちのような家族の場合、関係してくるのは、1)の子どもの国籍の問題と、3)の日本人配偶者が後に自分の意志でアメリカ国籍を取得する場合ですね。


前の記事にも書きましたが、1949年までの日本の国籍法では、両親のどちらかが日本国籍を有する場合、生まれた子どもは日本国籍を取得できるという父母両系主義でした。それが1950年(昭和25年)の国籍法改正で、父親が日本人の場合のみ生まれた子どもは日本国籍が取得できるという父系血統主義に変わりました。そして1984年に国籍法が改正され、父母両系主義に戻ったわけです。


しかし、ものごとそう上手い具合にはいきませんね。この1984年の改正で、出生による国籍の取得で、二重国籍となった場合、22才までにどちらかの国籍を選択しなければならない国籍選択制度という条項が加えられました。子どもにとってお父さんの国籍と文化もお母さんの国籍と文化も自分自身が引き継いでいる大切なもので、どっちか選べってそんな酷なことを....って思いますね。


これとは別に、仕事や結婚で永住権(グリーンカード)を取得してアメリカに長年住んでいる成人日本人が、後に自分の意志でアメリカ国籍を取得して二重国籍になっている人も実はたくさんいるのです。
永住権取得から5年(米国市民と結婚している場合は3年)以上経過していれば市民権の申請ができます。


日本は重国籍を認めていません。日本の国籍法では、他国の国籍を取得した時点で自動的に日本国籍を喪失することになっています。、実態は、本人が喪失届を提出しない限り国籍は喪失しません。中にはまじめに喪失届けを提出する人もいるようですが、実際にはほとんどの人が喪失届を提出をしないので事実上は両方の国籍を持ったままです。戸籍もそのまんま。


二つの国籍を持っていて問題なのは日本(←クリックすると国籍法について書かれたサンフランシスコ日本国総領事館のサイトが読めます)でのことで、アメリカでは重国籍を容認している(←クリックすると二重国籍について書かれたアメリカ大使館のサイトが読めます)ので、何の問題もないわけです。


出生により二重国籍になった人も、自分の意志でアメリカ国籍を取得した人も、日本側からどちらか選択しろ!!ってことになり、日本国籍を選択した場合でも、「外国の国籍の離脱に努めなければならない」という国籍法の条項はあるものの、”努力”を求めているだけで強制権はないのですね。日本政府と言えども、アメリカ国籍を剥奪することはできません。
だから、日本とアメリカ両方の国籍を持ったまんまの人は実はたくさん存在している訳です。



国籍法の条文を読んでみましょう→ここ
第十一条  日本国民は、自己の志望によつて外国の国籍を取得したときは、日本の国籍を失う。
第十四条  外国の国籍を有する日本国民は、外国及び日本の国籍を有することとなつた時が二十歳に達する以前であるときは二十二歳に達するまでに、その時が二十歳に達した後であるときはその時から二年以内に、いずれかの国籍を選択しなければならない。
第十五条  法務大臣は、外国の国籍を有する日本国民で前条第一項に定める期限内に日本の国籍の選択をしないものに対して、書面により、国籍の選択をすべきことを催告することができる。
第十六条  選択の宣言をした日本国民は、外国の国籍の離脱に努めなければならない。


第十五条に関わることですが、あるブログによると2008年国会記録によると法務大臣による催告等の罰則を適用した前例が無い』そうです。これからも適用される可能性は無いとは言いきれませんが。




こんなふうに、国籍法と実態が乖離している現状で、国籍選択制度の廃止&重国籍の容認という運動が起こるのも自然の成り行きっていうやつですね。




国際結婚を考える会の二重国籍容認を求めての国籍法請願運動についての記事はこちら
グローバル市民権ネットの重国籍容認を求める運動についての記事はこちら2004年の国会に提出するための署名運動のものですが


日本には重国籍を認めたら、外国人参政権を与えるより危険だ!!と運動している人もいれば、出生や結婚による重国籍を認めて欲しいと運動している国内外の日本人もいるのです。



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2012年1月20日金曜日

ファンシー フード ショー

1月15日〜17日までサンフランシスコのモスコーンセンター(Moscone Center)でWinter Fancy Food Showが開催されました。


このショーは世界約50ヶ国から1,300以上の企業が参加する今年で37年目になる北アメリカ最大規模の高級食材・食品見本展示会で年4回開催されるそうです。そのでっかい年4回のショーの1回目は必ずサンフランシスコで開催されます。このサンフランシスコ ベイエリア一帯がどんなけグルメな地域かがよくわかりますね。
他の3ヶ所はワシントンD.C.、ニューヨーク、ロサンゼルスだそうです。


ジェトロ(JETRO/日本貿易振興機構によると、日本食品の輸出先第2位(2010年の輸出実績:686億円)の米国市場へ販路開拓を目指す日本企業にとっては大変効果的な見本市とのことです。
今年も日本の企業がたくさん参加したようです。アメリカに駐在員がいるような大きな企業は単独で展示ブースを持っていますが、中小企業はジェトロ(JETRO/日本貿易振興機構が設けたジャパンパビリオン分割ブースで参加しています。
中小企業の海外ビジネス展開をサポートする業務の一環として、”日本産農林水産物・食品のさらなる輸出促進・販路拡大の支援を行っている” のだそうです。今年は東北の被災地からの参加も含め、30社ほどの中小企業が参加しました。


このジャパンパビリオンに参加した企業をいくつかご紹介します。
株式会社マーマフーズ:岩手県花巻市からの参加。パンの代わりにご飯でごぼうなどの野菜が入ったおからのパテを挟んで醤油味で頂くライズバーガー。めちゃうま。


株式会社 新丸正:静岡県焼津市からの参加。鰹節とカツオ出汁。鰹節を削る実演にはアメリカ人たちも立ち止まって見入っていました。え〜〜っ、魚のスープ??飲んだ瞬間、ベェ〜リ〜〜〜〜ッ グ〜〜〜〜ッド(笑)。


かねさ株式会社:青森県青森市からの参加。味噌です。ミソペーストはみそ汁でアメリカでもみなさんご存知ですね。それが味噌チャップ(ケチャップのようなネーミング)という味噌で作ったディッピングソースになって、生野菜やフレンチフライにつけて食べます。


カネショウ株式会社:青森県平川市からの参加。飲むリンゴ酢です。水で薄めた蜂蜜入りリンゴ酢に、酢を飲むのぉ〜〜とすごいびっくりした顔をする人たち、だまされたと思って飲んでみたら、すごいおいしい。リフレッシュされて疲れているときにいいって人気。実際、リンゴ酢は疲労の原因の乳酸を分解するんだそうです。


宝来屋:福島県郡山市からの参加。麹屋さんの冷やし甘酒です。その昔、甘酒は冷やして夏に飲まれていたそうです。夏バテ防止に土用の日にうなぎを食べていたのは一部の上流階級の人たちで、一般の人は冷やし甘酒を飲む習慣があったそうです。


株式会社ゼンヤクノー:鳥取県鳥取市からの参加。黒豆茶タンポポコーヒー。黒豆茶をコーヒーかと思って飲んだらあまりの美味しさにうなってました。香ばしくて美味しいお茶です。


他にもたくさん。こちらをご覧下さい。→参加企業の紹介(英語ですが...)


さて、日本以外にどこの国のがあるのかぐる〜〜と歩いてみると、イタリアがすごい。とにかくすごい、ブースの規模が半端ではありません。10列くらいあって、各列には数社のブースが入っています。生ハムにオリーブにチーズにジェラードにパスタに....全部回ったらお腹いっぱいです。フランスブースも人気でした。母の御用達(笑)マリン フレンチ チーズ カンパニーも出品。とにかくモスコーンセンターは広すぎて全部回れない....。


日本の中小企業がんばってます。北アメリカへの販路拡大にぜひともがんばってもらいたいですよね。


ちなみにこの夏、7月17日〜19日はワシントンDCで開催される予定です。


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